140字小説。愛の形。

迷路の奥で不倫の口づけ。r

2021/04/28

ビルの迷路の端は階段に繋がっていた。
繋いだ手が熱かった。
階段の奥底からモダンジャズの響きが漏れ聞こえていた。
古いアメリカンスタイルの扉があった。
押し開くとライブの熱狂があった。

放したくない。
私も。

僕たちは口づけした。
今夜この人は夫に貫かれるのだろうと思った。
甘い唇だった。