私を剃毛したのは剛一パパだ、と由香里は内心呟いた。
パパは丁寧に丁寧に私の恥丘と割れ目とアナルの周りの毛を剃ったのだ。
パパは剃毛したりアナルを広げたりして私を改造しようとしている。
怖いけどワクワクする。
それに、パパは素敵だ。
でも、本当に好きなのは正輝だ。
正輝に私のパイパンを褒めてほしい。
由香里心底そう思うのだった。
しかし、正輝は由香里を追求した。
「おかしい、ふざけるな、お前、誰と、何をした」
「誰とも、何もしていないわ」
由香里は自分でも驚くほど強い語調で答えた。愛の開き直り、そんな感じだった。
「本当か」
「本当よ」
「なぜ剃ったの」
「その方が綺麗だから」
咄嗟に出た言い訳だった。
そしてその言い訳は、由香里自身の核心から出た言い訳でもあった。
剛一に剃毛された後、パイパン姿の自分の割れ目を見て、由香里は自分がけなげに可愛いく綺麗だ、正輝にこのパイパンをプレゼントしたいと思ったのだった。
「もうそれはどうでもいいから、しっかりポーズを取って!!」
由香里が命じた。
正輝は言われる通り、アポロンの姿勢を取った。
左腕を腰に当て、右腕を斜め上空に突き上げる姿だ。
アポロンが、遥かなる青空、永遠の時を指し示すポーズである。
正輝はアポロンのポーズを取ってはいるが、裸の由香里に刺戟されて下腹部の蛇はいよいよ固くなり、弓なりに虚空を突いている。
由香里は暫く無表情でその勃起したアポロンを鉛筆で描いていたが、それを放棄し、おもむろに正輝の蛇に近づき、そして、両手でそれを愛おしく包み、その充血した先端を唇に含んだ。
由香里がペニスを含んだまま頭部を前後に動かすと、正輝は快感に耐えられず膝を追って崩れ落ちた。
崩れ落ちた正輝は貪るように由香里を抱きすくめ、仰向けにして由香里の内部に侵入し、激しく蛇身を打ち込んだ。
蜜壺の壁、蜜壺の奥、閉ざされた子宮の入り口を正輝は突くのだった。
休む暇もない容赦のないピストン運動と突き上げだった。
由香里は自分でも抑えきれない隠微な声を上げていた。
グウーーー
ヒィーーー
それは奥の宮が勝手に叫ぶ声、身体の奥底の臓器が叫ぶ声、いや、脳の奥底、爬虫類の記憶、原始の海の波の飛沫の彼方から押し寄せる声だった。
由香里は叫びに混じりながら
「中に出して! 出して!」
と半ば無意識に懇願した。
本能が正輝の射精を欲していたのだった。
そして正輝の激しい飛沫が子宮を襲い、蜜壺を満たし、蜜壺から溢れ出た。
熱い白い液体、肉の喜びに満ちた、命のエネルギーそのもの、生物が絶対的に宿命づけられた繁殖というエネルギー、その全てが凝縮された精液の、噴射、射出、迸りだった。
イク・・イク・・イクーーーー
その声は由香里の声ではなく、のたうつ生き物の声だった。
ウオォーーー
正輝も呻いた。
その呻きももはや正輝ではなく、命そのものの呻きだった。
正輝が爆発し放出した精液を受けて、由香里は全身が歓喜し痙攣するのを感じた。
横隔膜が不規則に動き、腹部がビクンビクンとのたうつ。
呼吸が困難にさえ感じられた。
夥しい熱い液体が限りなく蜜壺の奥を溶かし、溶けた蜜壺は歓喜となり、歓喜は全身を破砕し、破片は忘我の宇宙に飛散していった。
・・・・
正輝がもたらすその歓喜は、パパのゆったりとした芳醇な歓喜とは全く違って暴力的だった。
夏の嵐だった。
歓喜が去ったあと、由香里は正輝の腕の中で、いつものようにまどろんでいる自分を感じていた。