十月半ばだった。
私は、デザイン事務所で打ち合わせを終え、秋の夕暮れの銀杏並木道を歩いていた。
歩道の左側では歓楽街のネオンがともり始めていた。右側は、夕暮れの中をスモールライトを点けた車の群れが走っていた。
ふと気づくと、私の横に黒塗りのセダンが横付た。
「あら?」
と思う間もなかった。
後ろ座席のドアが開き男が出てきて、いきなり、そして一瞬に、車の中に引きずり込まれた。
「おう、元気だったかい?」
暗い車内で男が顔を近づけて言った。
全身に鳥肌が立った。以前、アルバイトをしていたクラブで私を襲いかけた熊谷だった。一瞬見えた運転席の男はその店のボーイだった。
私は恐怖で大声を上げ、ドアのノブを探した。
「うるさい、騒ぐな」
熊谷が怒鳴って、次の瞬間、何回か、こめかみ当たりを強く殴られた。
「お前には十万円払ったままだ。その分させてもらうぞ」
消えて行く意識の彼方で、そんな声がした。
気が付くと、繁華街の外れの公園の側だった。
ジーンズが引き下ろされ、パンストがずり降ろされ、パンティーが剥がされるのを感じた。
「やっぱり、いい体してるぜ、おい、動画撮っとけよ」
戻り始めた意識の中で、そんな声が聴こえた。
何が起こっているのか、その時点では分からなかった。
脚が広げられ、ぬめった舌が陰唇を割って舐め上がって来た。
殴られた痛みと恐怖が朦朧とした脳裡で騒いでいた。
私は、奇妙な声を上げて呻いていたと思う。
「いい呻きだ、たまらんぜ」熊谷の声が微かに聞こえた。
そして、私の腰が持ち上げられ、脚を肩に担がれる格好になり、そこへ、熱く、暴れ狂うペニスが押し入って来た。
痛みが走った。
熊谷は一度ペニスを抜き、指で膣口を押し広げた。
「びっくりして乾いているのか? ヘヘ、濡らしてやるよ」
そして、私の脚をさらに大きく広げ、剥き出しになった膣口に生ぬるい涎を流しこんできた。
再びペニスが押し入って来て、涎で濡れた膣の奥深くへと侵入してきた。
半覚醒状態で目を開けると、熊谷の卑猥な顔が迫っていた。獣の唇が私の唇を塞いだ。
ぞっとするような、猥雑で下品で荒らしい舌が、私の口の中を荒らしまわった。
私は、全身から憎悪の感情を絞り出して熊谷を必死で睨み、両腕に力を籠め、熊谷の胸を押して引き離そうとしてもがいた。
熊谷は一度唇を離して言った。
「気の強い女だ。その目ががまたそそるんだ」
熊谷はそう言うと、私の顔を何度も平手ではたいた。目がくらみ、顔がしびれ、視界がぼやけた。
そして、熊谷の右手の指が頬骨の下、顎関節のあたりに強力に食い込んできた。
私の顎はが機械的にこじ開けられた。
苦しさと痛みと恐怖の中で、涙を浮かべて熊谷を睨んでいたと思う。
再び口の中を舌で犯され、膣をペニスで突かれながら私はパニックに陥った。
激しいピストン運動を続けながら、熊谷は更に、私の首や乳房、乳首を舐めまわした。
私は途切れ途切れの意識の中で、無我夢中で叫びながら、渾身の力を込めて、のしかかっている熊谷の後頭部を叩き続けた。
「おい、こいつの手を抑えてくれ!」
言われたボーイが、運転席から身を乗り出して、強力に私の手首を頭の上で固定した。
熊谷は私の乳房を揉みしだきながらピストン運動を速めた。
やめてーー
やめてーー
私は必死で叫んだが、車の外には聞こえなかったと思う。
出すぞーー
出すぞーー
熊谷は叫ぶようにそう言うと、私の中に激しくザーメンを噴き出した。
キャーー
キャーー
と、自分でも信じられない獣のような声が喉から迸っていたようだ。
「うるさい!!」
そう言って、熊谷がまた私をしたたかに殴った。
再び、意識が一瞬消えた。
「おい、お前もやってみろ、前からこいつとやりたかったんだろ」
そんな声が聞こえていた。
薄れた意識の中で、ボーイのペニスが私の口を無理やり開けてようとした。
「手伝ってやるぜ」
熊谷がそう言って、私の髪の毛をわし掴んで、頭を後ろにグイと引っ張った。顎が突き出され、口と喉奥が開く形になった。
ボーイは私の開けられた口にペニスを挿入してきた。
そして、野獣のように腰を動かし、喉の奥にペニスを何度もこすり付けた。
私は必死で抵抗したが、ペニスのピストン運動は激しさを増し、やがて汚らしいザーメンが放出された。
私は全力を込めて、ザーメンとペニスを咽ぶようにして、一気に吐き出した。
ベベベーー
と、吐き出した時の自分の唸り声を覚えている。
今度はボーイにしたたかに殴られたようだった。
そこで意識は途絶えている。