八月も終わろうとしていた。
アパートの窓からの強い日差しに微かな陰りが加わり始めていた。
自分の部屋で絵を描くのは久しぶりだった。
大きな夕焼雲と地上から競りあがって来る中世の巨大な塔の絵が、完成を求めて私の筆を待っていた。
キャンバスを前に、由香里は筆が動かない自分を感じていた。
沖縄にいたのはたった三日ほどだったが、遠い昔のような気がした。
沖縄から帰ってここ暫くは強烈な快感の余韻だけが身体中を駆け巡っているのだった。
私は沖縄での激しいプレイを思い出していた。
リゾートホテルのベランダでの剛一パパとのセックス。
早朝の黄金の光に満ちた浜辺での青姦。
クルーザーで感じた東シナ海の光と風。
シュノーケルで見た海中での遼介と美希がクンニとフェラしあう姿。
二人の幻想的なシックスナインだった。
二人に刺激されて剛一パパにせがんだ海中クンニ。
そしてクルーザーの中でのスワッピング。
私は遼介に抱かれ、侵され、アナルに射精された。
剛一パパは美希を抱き、侵し、やはり彼女のアナルに射精した。
美希のアナルから啜って飲んだ剛一パパのザーメン。
私のアナルから遼介のザーメンを啜り飲む美希の舌の感触。
さらには、美希との初めてのレズビアンセックス。
美希の舌と指が私の全身をソフトに愛撫した。
舌はぬめりながら、首筋から脇腹、腹、腰、恥丘、クリトリス、陰唇、膣口を舐めまわした。
指は舌に従いながら、全身を羽のように撫で、ついには膣の中に侵入し、Gスポットを攻めた。
私は全身が痙攣し、意識が飛ぶのを初めて経験した。
強烈な快感だった。
私は苦し気に、大声で叫んだらしい。
絶頂の中で私は白目を剥いていたという。
それがアクメ、オーガズムよと、美希が言った。
アクメ
オーガズム
言葉では知っていたが、体感したのは初めてだった。
身体が勝手にのたうつのだった。
横隔膜が変になったように、呼吸が不規則になり、途切れ途切れとなった。
快楽は最初クリトリスあたりから沸き起こってきたが、膣の壁から吹き出し、電気のように全身を走り回った。
ついに私は絶叫して瞬間的に意識を失った。
その後、私はゆっくりとどこかへ沈んで行くようだった。
その時白目を剥いていたのだろう。
涅槃の貌よ
と美希が遠くで言ったのを覚えている。
キャンバスを見つめながら私はインスピレーションが走るのを知った。
そう
私が描きたいのは
アクメ
オーガズム
涅槃なんだ。
私は自分自身に、宣言した。
私は
私の涅槃を
描いて見せる!!