目が覚めた。
室内にカーテンの隙間からの光が漏れていた。
私はシーツにくるまって全裸だった。
隣に夫の裕也が眠っていた。
彼は寝返りを打ってきて、さりげなく私の体に手を回し、乳房を掌で覆った。
その手をそっと押しのけて、ガウンを身に着け、ベッドを離れた。
ガラスの透明な壁の向こうは居間となっていた。
その奥のダイニングテーブルで、ガウン姿の恭介が簡単な朝食を広げていた。
私は寝室を出て居間に出た。恭介が気付いて笑顔を見せた。
「おはよう、よく眠ったみたいだね」
「おはよう、今何時?」
「朝の十一時だよ」
「そんなに?」
「眠ったのは夜の十一時くらいだったよ」
「十二時間も眠ったの?」
「本当によく眠ってたよ。寝顔は可愛かったよ、仕事場では見たことのない可愛さだった」
「変な事言わないで」
私の声は軽やかだった。そう言えば、全身が爽やかだった。
上質の焼酎のせいだろうか、アルコールは完璧に消え、クリーンでさえあった。
そして、昨夜のセックスのせいだろうか、全身にエネルギーが満ちているようだった。
「美帆は?」
「どうしても欠かせない仕事があって、少し前に出て行った」
「そうなの」
「見たよ、美帆と愛し合っているところを」
「言わないで」
「由希の体が綺麗だった」
「言わないで!」
私はそう言って、テーブルの上のグレープフルーツジュースを飲んだ。
新鮮な酸味が喉と体を潤した。
恭介がそばに寄って来て、ガウンの中に手を入れ、乳房を軽く撫でた。
そして唇を寄せて来た。私たちは軽い接吻を交わした。
昨夜の夫婦交換で濃密に触れ合ったせいだろう。私たちの体は互いになんの違和感もなく、肌を寄せあった。
「シャワーを浴びたいわ」
「じゃ、一緒に入ろう」
私たちは、ベランダに出た。
ベランダの彼方には、四月の午前の晴れ渡った空が広がっていた。
ベランダの外周は強化ガラスに囲まれ、プランタンや小物、小さな高価なソファーが置かれ、ちょっとした植物園だった。
植物園の中に、大きなガラスで出来た、小舟の形をした透明な浴槽があった。
小舟の横の奥は、シャワーなどが備わった浴室となっていて、その壁と天井は鏡張りで、体の隅々まで映す造りになっていた。
小舟の浴槽に入るとき、どうしても片脚を上げざるを得ないような設計になっていて、股間の花唇や肉芽が浴室の鏡に映し出された。
「見てるの?」
犬がおしっこするように、私は片脚を上げながら言った。
「見えちゃってる」
「厭らしいお風呂ね」
恭介も片脚を上げて小舟に入って来た。
その時、彼の股間の蛇と、付け根の膨らんだ蛇の巣の袋が見えた。
蛇は少し身を伸ばし始めていた。
小舟の中で向かい合って抱き合った。
「変なことしないでね」
「変な事って?」
恭介がニヤニヤしながら言った。
私の花唇のあたりで蛇がもぞもぞ動いていた。
その時、裕也の声がした。
「俺も仲間に入れてよ」
片脚を上げて、蛇と袋を鏡に映して小舟に入って来た。
そして、私を後ろから抱える格好で、小舟の中に納まった。
私は、前からは恭介に後ろからは裕也に挟まれ抱かれる形になった。
二人の男に同時に抱かれるなんて、今までにない経験だった。