愛人契約

愛人契約45.女は糖質制限でお肉ダイエット中。だからガツガツと焼き肉を。r

2021/04/26

剛一と由香里がクルーザーに戻ると肉が焼ける旨そうな匂いがした。
時間は昼1時を過ぎていた。
朝食を摂ったのが朝の七時ころだった。既に六時間も経っていた。
よく泳いだせいもあって剛一と由香里はその匂いに空復感を一層募らせた。

美希が二人にタオルを差し出しながら言った。
「由香里、しっかりクンニしてもらった?」
由香里は顔を赤くして
「素敵だったわ」と、大胆に答えた。

「遼介さんが料理しているの」美希が言った。
「何作ってるの?」由香里が訊いた。
「焼き肉ですって」美希が言った。
「うれしい!!」由香里が素直に喜んだ。
「由香里、今朝もホテルで焼き肉を食ったばかりだろ」剛一が言った。
「お肉はいくらでも食べれるわ」由香里が言った。
「だから体が奇麗なのね」美希が言った。

陽がじりじりと照りつけていた。
海もデッキも遠くに見える磯の彼方の樹々も暑さにうなだれている様だった。
三人はキャビンの中に潜り込んだ。
キャビン中は適温に保たれ快適だった。
美希はホテルに勤めているだけあって配慮に満ちていた。
美希が二人にホテルのガウンを用意してあった。
二人は乾き始めた水着の上にそれを羽織った。

キャビンの両側にはソファーが備え付けられ、中央にこじんまりしたダイニングテーブルが有った。
テーブルの上には、焼き肉用のプレートがすでに加熱されて調理の開始を待っていた。
キャビンの船首側の突き当りに小型ながら高機能のキッチンが備わっていた。
「やあ、お帰り。何か飲むかい?」
遼介がキッチンで野菜類を刻みながら言った。
「ビールが飲みたいね」剛一が言った。
「じゃ、とりあえず、みんなで乾杯しましょう」美希が言った。
美希がキッチンの小型冷蔵庫から缶ビールを出し、ダイニングテーブルの上においた。
遼介は刻んだ野菜を、牛肉が盛られたプレートに移し、美希と並んでテーブルの側に立った。

「じゃ、缶ビールを開けてください」美希が言った。
皆それぞれに缶ビールタグを開けた。
「ようこそ我が隠れ家へ。乾杯!!」遼介が音頭を取った。
剛一は一気に缶ビールを飲み干した。
「相変わらず、鋼ちゃんの飲みっぷりはいいな」遼介が言った。
「接待で鍛えたのさ」剛一はそう言って笑った。

「この肉は鹿児島の特産黒毛和牛だ。うまいぞ。しっかり食ってくれ」遼介が言った。
「由香里は大の焼き肉好きなんだ」剛一が言った。
「お肉ダイエットしてるの。お米を食べずに、お肉をしっかり食べるダイエットよ」照れながら由香里が言った。
「知ってるわ。糖質制限ダイエットよ」美希が言った。
それがきっかけで二人はダイエットの話題に入って行った。

ガウンを纏った由香里も美しい。剛一はそう思った。
生乾きのショートカットは由香里の清楚さを強調した。
生成りのタオル地がスレンダーな体の曲線を浮き立たせていた。
ガウンは膝までしかなく、そこから健康的で伸びやかな脚が艶めいていた。

美希もやはり美しかった。
漆黒の長い髪に、漆黒の瞳、切れ長の目尻が神秘的だった。
ガウンの胸元からは、放漫な乳房の谷間が見え隠れしていた。
身体全体から成熟した女のフェロモンが放射されている様だった。

午後の光の中で四人ともガツガツと焼き肉を頬張った。
適度な焼き具合の赤身と、少し焦げた脂身の味が皆の食を増進させた。
四人ともアルコールが強かった。
腹が張るということで、途中から沖縄の焼酎、古酒クースに切り替えた。
遼介と剛一はロックで、美希と由香里は水割りで飲んだ。
「由香里ちゃんの飲みっぷりもいいね」遼介が言った。
「きっといいお友達になれるわ」美希が言った。
「改めてカンパーイ」
由香里がグラスを上げた。
少し酔ったかな、と、由香里を見ながら剛一は思った。

沖縄の東シナ海の午後の時間がゆったりと流れて行った。