ホテルの玄関に出ると美希が三菱の赤いジープで待っていた。
剛一が後ろ座席のドアを開けて乗り込み由香里が乗り込んだ。
窓は開け放たれゆるやかな潮風が吹き抜けていた。
美希が運転席に乗り込んで言った。
「ここから約二十分程度のところにプライベートな入り江があります。そこへ向かいます。」
赤いジープは午前十時の朝の日差しの中を走った。
道路サイドには沖縄特有の濃い常緑樹が続き、ところどころコンクリート塀に囲まれた民家が散見した。家々の屋根や門にはシーサーが構えていて通過するジープを見つめていた。
ジープは東シナ海の煌めくさざ波を右手に見ながら南下した。
「もうすぐです」
運転席の美希が窓からの風に髪をなびかせながら言った。
車は一旦、雑木林の中に入り込み、そこを抜けると小さな入り江があり、砂浜と磯が広がり波が打ち寄せていていた。
車は砂浜と雑木林の境を走り、磯の手前で止まった。
そこは整備された駐車場で、すでに1台のワゴン車が駐車していた。
その向こうに小さくて瀟洒なクラブハウス風の建物が有った。
「着きました」美希が運転席から降りた。
後座席から剛一と由香里が続いて降りた。
磯の方から手を振っている男がいた。
「遼ちゃーん」そう言って男に向かって剛一が手を振った。
その男が小走りに近寄ってきた。<
身長一八〇センチ超の長身。
頭はGIカット。
迷彩色の半ズボンにモスグリーンのタンクトップ。
肩幅の広い筋肉質の体躯。
日に焼けた顔。
知的な印象を与える広い額。
口元は笑っているが、太い眉の下の眼光が鋭く静まっている。
由香里は本能的にその眼光に後ずさりした。
それを察して、剛一が言った。
「長年の親友だよ。中学時代からの付き合いだ。優しい男だよ」
「初めまして雁屋遼介です。」
「蒼井由香里です。」
遼介は由香里に握手を求めた。
由香里が恐る恐る手を出すと、ぎゅっと遼介が手を握り返した。
分厚い掌だった。優しくそして適度に強い握手だった。
「素敵なお嬢さんだ」
遼介は由香里を一瞬で透視するような視線を投げかけた。
「ここは雁屋さんの会社のプライベートビーチです。こちらへどうぞ」
そう言って、美希が由香里を建物の中へと案内した。
二人の後に剛一と遼介が続いた。
中は小さいながら立派なホテルの作りだった。
中央に共有のフロアがあり、ソファーやテーブルが置かれ、リビングそしてダイニングの機能を備えていた。
ゲストをもてなす親密感あふれる空間だった。
フロアを囲んで10室ほどの部屋のドアがあった。
「では、お部屋で水着に着替えてきてください」
そう言って美希が剛一と由香里用の部屋を指し示した。
剛一と由香里はその部屋に入った。
美希と雁屋は隣の部屋二人で入って行った。
部屋の中は今宿泊しているリゾートホテルのミニ版だった。
ホテルと同じように、内装は豪華にまとめられていた。
部屋のリビングでガウンを脱ぎ、水着だけになった。
由香里が訊いた。
「美希さんと雁屋さんはどんな関係なの?」
「恋人同士だよ」
「何て素敵だ!!」
遼介が、ロビーに現れた由香里に賛嘆の声を上げた。
恥ずかし気に剛一の側に由香里が寄り添っていた。
ショートカットで清楚な印象を与える由香里。
スレンダーな白い身体。
乳首だけを隠す紐。
恥丘というよりも肉芽だけを隠す紐。
そんな紐だけで作られたライム色のマイクロビキニ。
胸は少し小さいが整っていて、腰がすんなりとくびれている。
そして、恥丘のかすかな盛り上がりと割れ目だけが小さな布と紐でで覆わている。
紐の端からパイパンの花唇の一部が露出している。
更にその下に2本の弾力に富んだ太腿が伸びている。
「由香里さんはパイパン?悩ましいね」
そう言って遼介が微笑んだ。
由香里は開き直って、腰に手を当て、腰を左右に軽く振って見せた。
4人の間にかすかな笑い声が上がった。
知花美希も素敵だと剛一は思った。
情熱を感じさせる黒いロングヘアーに、悩ましい黒い瞳。
由香里と身長はほぼ同じ。
肉付きが良く、由香里よりは太めだが、均整の取れた美しい体だ。
身体全体はリゾートホテルに勤務しているため、日に焼けている。
そして全体的には成熟した女を感じさせた。
豊かな乳房を白色の三角ブラで包み、ボトムは今にも解けそうな、やはり白い紐パンティーを付着させているだけだった。
マイクロビキニほどではないが、身体はほとんどが露出していた。
それに比べ男たちは地味だった。
剛一は、年の割には贅肉が少ない身体に濃紺のロングタイプの水着。
遼介は、しっかりと鍛えた筋肉質の身体に色彩が乱れ飛ぶ派手なボックスタイプの水着。
そんな風体だった。
「では行きましょう」
美希が先頭に立って、由香里と男たちを磯に誘導した。