スワッピング・悦楽の四重奏

四重奏03 夫に嘘を。甘いお泊りの言い訳。友人の援助。r

2021/04/26

噴出のあとの彼が鎮まり、私の快楽の波も引き体も鎮まった。
うつ伏せになった私に彼が被さって来て、私の首筋や背中に軽くキスした。精気を放って柔らかくなった蛇が私の背中の上で、ふにゃふにゃと息絶えていた。それがくすぐったくて私は自然にクスクス笑ってしまった。

「由希さんの体、凄い敏感ですね」恭介が耳元で言った。
 「分からない。自分の体のことはわからない」
私は、仰向けになって恭介を見上げた。やはり、美しい目が艶めかしく私を見詰めていた。そして、ゆっくりと顔を近づいてきて、唇を塞がれた。

甘い唇。

まさに、少女コミックに出てくるような甘い唇だった。私は、その唇を両手で突き放し、ベッドから出て下着と衣服を探した。それはすぐ横の化粧台の椅子に無造作に打ち捨てられたいた。

脳裏を切れ切れの思考が乱れ飛んだ。
私は、外泊してしまったのだ。
夫に何て言い訳しようか?
それにしてもここはどこ?
昨夜、私は彼と何をしたのか?
やはりセックスしたのか?
夫を裏切ったのか?

私の狼狽を見抜いたのか、恭介が言った。
「由希さん、昨日の夜、タクシーの中から経理の高月翠たかつきみどりさんに電話してたよ。翠さんのマンションに泊まることしたって、主人に電話しておいてって」
「え?」
「覚えてないの?」
恭介はニヤニヤしながら私を見詰めた。
私は、必死でショットバーの後のことを思い出そうとした。彼が言うように、友人の翠に電話入れたような気もする。そして夫への嘘の伝言を頼んだような気もする。

私は化粧台の上のスマホを引き寄せ翠に電話をかけた。
土曜日の朝の七時頃だった。彼女は貴重な週末の時間をまだ眠っているのかもしれなかった。長い呼び出し音の後、不機嫌な重い声が聞こえた。
「もしもし、何よ?」
「ごめん、昨日の夜の電話の件だけど」
私は確信が持てない曖昧な問いかけをした。
「電話、入れといたわよ。裕也さん、お世話になりますって言ってたよ。で、あんた、大丈夫?」
「ありがと、大丈夫よ」
「まさか、あんた、誰かとお泊り?」
「どう思う?」
私は曖昧に答えて電話切った。

その瞬間私は自覚した。
私って馬鹿だ。無神経だ。夫を裏切って罪悪感がない。破廉恥だ。
そのくせどこかで太々ふてぶてしい自分を感じていた。

電話を置くと、恭介に後ろから抱き締められた。彼は背後から乳房を揉みしだき、私の髪の中に顔を埋めてきた。私は無意識に腕を伸ばして彼の熱い蛇を掴んだ。彼の回復は早かった。私の掌の中で、鎌首が起き上がり、硬くなり始めていた。