互いの体を貪り合った後、快楽の余韻が響く中で、二人は唇を寄せ合いまどろんだ。
体のほてりが収まったころ由香里が言った。
「何か飲む?」
「軽くビールが飲みたいな」
美希が言った。
「じゃ、こっちへ」
由香里が立ち上がって美希をダイニングに導いた。
寝室からリビングへ、そしてリビングをよぎってダイニングへと移動する二人の裸身が、壁や天井の鏡に映っていた。
美希は楽しそうに、鏡に映っている裸の自分たちに手を振ったりしてはしゃいだ。
このマンションはまさにリゾートホテルだった。
リビングの奥には小さなダイニングが有り、キッチンと冷蔵庫などが備えられていた。
由香里が冷蔵庫から缶ビールとグラスを取り出した。
二人はタブを開け軽く乾杯した。
このダイニングも四方はほとんど鏡である。
美希から見ると、正面に形のいい乳房をした由香里がいて、その後の鏡に、すらりとした由香里の背中が映っている。
由香里からも、正面の美希と、後の鏡に映っている美希の背中が見えている。
向かい合う鏡の角度は調整されており、互いに互いをを映し返す無限の鏡像を防いでいた。
「冷蔵庫の中身や、お部屋の手入れ等はどうしているの?」
美希が訊いた。
由香里の説明はこうである。
このマンションはまさにリゾートホテルシステムを採っている。
フロントに頼べば、ベッドメイクや、衣類の洗濯などを住民が留守の間にやってくれる。
また、希望する飲み物や食材も冷蔵庫に保管補充してくれる。
更には、各種料理のお届けサービス等、ルームサービスも完備している。
そして、住民の個人情報は完璧に保護されている。
「素敵ね、何日泊っても不自由しないのね」美希が賛嘆の声を上げた。
「剛一さんとはよくお泊りするの?」美希が訊いた。
「パパとはほとんどお泊り無しよ。パパはお仕事と家庭をとても大事にしてるの」
「そう、なんか、もったいないわね。」
「何が?」
「あなたと、この部屋が」
「どいうこと?」由香里が訊いた。
「剛一さん、もっともっとあなたを求めるべきよ。そしてこの部屋ももっともっと使うべきよ」
そう言って、美希が由香里の乳首を悪戯っ子のようにつついた。
「やめて」
由香里が笑って体を捩った。
美希とアルコールが由香里の心と体を更に癒してほぐした。
由香里の顔がほんのりピンク色になったの見計らって、美希がキャリーバッグの中から小さな細長い箱を取り出してきた。
「いいもの見せてあげる」
美希が少年のように瞳をキラキラさせて言った。
「何?」
由香里が美希の手元を覗き込んだ。
箱が開けられた。
「あらっ」
と、由香里が小さな驚きの声を上げた。
そこには怒張したガラスのペニスがあった。
ガラスは薄い水色で、何か謎めいた光を蓄えている様だった。
「ディルドよ。張形よ。触ってみて」美希が言った。
「怖いわ」
「大丈夫、私も一緒に触ってるから」
そう言って美希が箱の中からディルドを取り出して、実際の蛇身にするように軽く愛撫した。
「さ、由香里も」そう言って、由香里の手をディルドへと誘った。