一番奥の席のボックス席で、男は女のミニスカートの下に手を這わせ、執拗にパンティーの割れ目まさぐった。
開店間際で、店内に他の客はいなかった。
「止めてください」
女は強くそう言ってカウンターの奥のマスターを目で探した。
マスターがチラとこっちを向き視線が合ったが、彼は知らんふりで顔をそむけた。
「本当に止めて!!。いや、いや。」
女は太腿を必死で閉じながら懇願していた。
しかし男の指は動きを止めなかった。首元の男の熱い息が、女にたまらない嫌悪をもようさせた。
男はまさぐりながら口元で囁いた。
「ここでさせろ。十万円払う。俺にさせろ。」
男はこの店一番の上得意客で、IT企業の若手経営者という触れ込みだった。金に任せて店のホステスをこうやって何人も弄んでいた。遊び方は品がなく欲望を露骨に剥きだすが、気前よく金をばらまくのでホステス達はいやいやながらも男を迎えていた。
女は、ママに今日は早く来てほしいと頼まれ、開店の一時間程前に店に入ったのだった。しかしママはおらず、ボーイとマスターが開店準備をしているだけだった。
着替えを済ませたころ、その男が入って来た。女はその男に初めて呼ばれ、奥の席に着いたのだった。
奥の席は、店内からは死角になっていた。柱の陰にボーイの姿が見えたが、ボーイも女の助けを呼ぶ声に見向きもしなかった。
もしかしたらママやマスター、ボーイ達皆がグルなのではないかと女は思った。
女は、とうとう我慢できなくなり、飲みかけのウイスキーを男にぶっかけ、思い切り男を突き放し、化粧室へと逃げ込んだ。
そして内側からドアの鍵を閉めた。