蘭が社長の右隣に座った。
社長の左隣は俺で、俺の隣には凜が座った。
まるでどこかのクラブのようにな雰囲気になった。
テーブルの前には藤さんが座って、飲み物やオードブルでもてなした。
蘭が社長の手に自分の手を重ねた。
そして言った。
「拳銃二丁用意できます?」
「それに防弾車も」
凜が続けた。
社長と俺は驚いて二人の顔を交互に見た。
二人とも笑みを浮かべ悠然としている、そして、妖艶だ。
「何でそんなものが要るんだ」
俺が言う。
「ほんまや、あんたら何者や」
社長が前と同じ質問を繰り返す。
「あいつら、これからも必ず私たちを襲ってくるわ。最後には殺してもいい、そんな勢いだわ」
蘭が言った。
「だから何でや」
「理由は後で話すわ。拳銃と防弾車、用意できるの?」
凜が毅然と言った。
口元は微笑みがあるが、眼は鋭かった。それが、凜の顔を、知的で冷たくはあるが艶めかしくエロティックに見せた。
凜がさらに続けた。
「雁屋さんとどっかで通じているんでしょ。だったら出来るはずよ」
俺が雁屋という名前を耳にしたのは、凜と携帯で連絡を取っている桐野の声からである。
大阪のミナミの「朝陽クラブ」という事務所で「雁屋」という名前を出せば、いろいろ面倒見てくれるという内容だった。
「お前ら、雁屋さんを知ってるんか?」社長が言った。
「直接は知らないわ。でもどこかで繋がっている」凜が言った。
「何と?誰とや?」
「それより、用意できるの?」
凜が怜悧でずる賢い、しかし挑発するようなエロティックな視線でブルドッグを見据えた。かけ引きに長けている貌だった。
何秒か経って、ブルドッグが言った。
「分かった、何とかしよう」
そう言うとブルドッグはいきなり隣の蘭を抱きすくめた。
「もうたまらん、頼むからやらせてくれ」
「いいわ」
蘭が言った。
蘭が言い終わらない内にブルドッグは飛びかかるようにして蘭を抱きすくめ、唇を狂おしく吸った。
ピンク色のシースルーのガウンの中で蘭の成熟した肉体が発熱していた。