愛人もどき。危険な女二人。

愛人もどき01  二人の女と出会ってそして犯されて。

八月のある夜。午前四時。
俺は眠気を我慢してタクシーを運転していた。客を届けての帰り、都市部の外れ、闇の中に寂れた街並みが続いていた。行き交う車も人影もなく、単調な狭い道が続いていた。腹が減っていた。どこかで牛丼でも食いたかった。

街灯の青白い光の中に二人の人影があった。若い女性が二人、手を振っていた。
一人は豊かな長い髪をしておりミニスカートから白い足をなまめかしく突き出していた。
もう一人はショートカットで、黒いズボンに白いブラウス姿で、少年のようにも見えた。
二人の背後の闇の中に、軽自動車が路肩に乗り捨てられているようだったが、定かではなかった。
俺は二人の前に車を停めた。

俺は条件反射的に客を乗せる動作で、後座席のドアを開けた。二人の女は飛び込むように乗り込んだ。
髪の毛が長いほうが先に乗り、後からキャリーバッグを持ったショートカットが続いた。
「とにかく出して」と言った。
俺はドアを閉め、アクセルを踏んだ。
「どちらまで?」
女はここから少し距離のある街の名前を言った。
俺が帰る方向でもあった。

暫く走った時、長い髪の女が言った。
「松岡さん、四十五歳なんだ」
女は、表示が義務付けられている運転席の社員証を見て、俺の名を呼んだ。
「ハイ」俺は答えた。
「夜遅くまで頑張って、奥さん幸せでしょう」女が訊いてきた。
「いや、今独身なんです」
「そうなの、寂しいわね」もう一人のショートカットの女が言った。
「いえ、結構自由にやってます」
「私たち疲れてるのでちょっと眠るね。街に着いたら起こして」
長い髪の女が言った。
こちらも疲れていたので、会話せずに済んだことが嬉しかった。
「ハイ」と答えると、彼女たちはそのまま沈黙した。
バックミラーで後座席を確認すると、二人は恋人たちのように抱き合って眠りに入っていた。

寂れた街を過ぎ、少しは賑やかな街が見えてきた。東の空が明るみ始めていた。
一時間ほど走っただろうか。後ろ座席を振り向くと二人は顔を寄せ合って眠り続けていた。
二人とも美人だった。
長い髪の女は情熱的で優しい美しさ、ショートカットの女は知的で可憐な美しさだった。

暫くすると人気のない公園が見えた。俺は公園の横に車を止めた。八月の夜が明けようとしており、空はプラチナ色に輝き始めていた。
俺は後ろ座席のドアを開けた。

「お客さん街に着きましたけど」と声をかけて覗き込んだ。返事が無かった。
「お客さん街につ着ましたよ。ここからどこへ行きますか?」
もう一度声をかけた。
時々、酔った客が泥酔して、行き先がわからず処置に困ることがある。
そんな場合は、最寄りの交番や警察に駆け込み、処置を任せるのがルールだった。
そして、決して、客の体に触れてはならない。
ましてや、相手が女性なら絶対触れてはならないのだ。

俺は美しい彼女たちの体に触れないように神経を使った。
ドアから更に首を奥に突っ込んでもう一度声をかけた。
「お客さん・・・ 」
その時、奥にいた長い髪の女が俺の首に腕を回し、思い切り自分に引き寄せ、唇に接吻してきた。
そして舌を差し入れて来るのだった。
唇を離して女が言った。
「お金は体で払いたいの」
「そんな・・・」
拒否しようとすると女は再び俺の唇を吸った。
倒れこむ形になった俺の下のショートカットの女が俺のズボンを脱がしにかかった。

ヤメロー

と言ったが口は滑らかな舌に塞がれていて、声にならなかった。
俺の蛇の先ががヌルっとして冷たいものに絡まれるのが分かった。
ショートカットの女が俺の蛇を咥えこんだのだった。
本能というより、肉体の機構として蛇身が屹立し始めた。

-愛人もどき。危険な女二人。