愛人もどき。危険な女二人。

愛人もどき23.逃げ込んだのは古い屋敷。セックスはまだお預け

車はやがて古い民家が並ぶ一角を通過し、ちょっとした森に囲まれた古風な屋敷に着いた。
勇壮ともいえる作りで、築数百年以上は経っていそうな風情だった。
門をくぐり、車寄せにランドクルーザーを着けた。
「着きましたで」
ブルドッグが俺たちを振り向いて言った。
ブルドッグは先に立って玄関のベルを押した。
暫くすると品の良い三十前後の和服姿の女将のような熟年の女性が出てきた。
「今日は早いですね、阿闍梨あじゃり
俺は阿闍梨と言う呼び名に引っかかったが、その時は気にしなかった。

「藤さん、お客さんや、女二人と男一人、部屋用意したって」
「いらっしゃい、あら、ま、けったいな格好ですな」
藤さんと呼ばれた女性は、バスタオル姿の俺たちを見て、少し驚いたが好奇心が強いのか、微笑して三人の全身を見回した。
「ちょっと理由があってな。なんか着るもんなかったかな」
「奥さんのが合いますかも」
「そやな、頼むわ」

「奥さん?」
蘭が訊いた。
「ヘエー、三年ほど前に亡くなりはったんですけどな、服はタンスに入ったままです」
藤さんが言った。
藤さんは蘭と凜を手招きして、バスタオル姿の二人を案内して廊下に消えた。
「松岡はんはこっちや」
社長は俺を小さな和室に案内した。
そこでジャージのトレーナー上下を貸してくれた。

着替えてリビングに案内されると、蘭と凜がゴージャスなしかし極めてエロティックなガウンを纏いソファーに座って何か飲み物を口にしていた。

蘭のガウンは薄いピンク色のスケスケの滑らかな生地。その上に金の刺繍が華やかに走っている。
透けて見える小さなピンクのブラと、同じピンクの紐パンツ。
蘭の成熟した身体が一層強調されている。

凜のガウンは薄い水色で、やはりシースルー。銀の刺繍が妖艶に乱れている。
透けて見える凜の体は九頭身、大理石のような光沢を放っている。
下着は、小さな布切れと紐でできたマイクロビキニ。
恥丘を覆う小さなショーツから可愛い恥毛がはみ出ている。

俺は二人が悠然と笑みを浮かべているのに腹さえ立ってきた。
AV撮影の時は射精を中断され、車の中ではペニスの根元を閉鎖された。
俺の射精欲求は限界まで抑圧されているのだ。
「俺をまだ生殺しにするのか」二人に言った。
「藤さんがこのガウンがが良いって」
「これしか無いって」
二人は悪戯っ子のようにおれに言い訳した。

「マ、寛いでおくれやす」
藤さんが、ブルドッグと俺にも飲み物を渡した。
酸味のある、爽やかな、ジンジャーエールだった。
ブルドッグの目は既に欲情し、蘭と凜のエロティックな半裸体を舐めまわしている。

ブルドッグのスマホが鳴った。
ブルドッグが電話口で、頷いたり、怒鳴ったり、問い詰めたりした。
相手は緑川らしかった。
電話が終わると、俺たち三人に向かって報告した。

謎の男二人は、緑川やカメラマン照明マンに阻まれスタジオを退散した。
事務所から外へ飛び出すとき、凜が持っていたキャリーバックをひったくって行ったらしい。
おかげで、スタジオの中は荒らされ、カメラ一台が破損し、照明の電球が二個割れたそうだ。
ただ、蘭と凜と俺の3Pプレイのビデオアは無事だったらしい。
明日スタジオを整理したら、さっそく編集と仕上げに取り掛かるらしい。

飲み物を飲み干した蘭と凜に向かって社長が好色な笑顔を浮かべて言った。
「落ち着いた部屋やったら、セックスしてくれる言いましたな」
蘭と凜が顔を見合わせた。
凜が言った。
「まだその気にならないわ。その前にお願いがあるの」
それを聞いていた藤さんは、穏や顔でにこにこしていた。

-愛人もどき。危険な女二人。