自宅のマンションに入ると、夫の裕也は書斎でパソコンを叩いていた。
振り向いて
「お帰り」
といって、またパソコンに向かった。
いつもの事だった。
裕也は昼間は研究室にいて、夜は遅くまで書斎でパソコンに向かうのだ。
私も仕事上、深夜の帰宅が多く今夜の十二時近い帰宅もいつもの事だった。
私はシャワーを浴び、風呂に入り、髪を乾かし、ベッドに入った。
昼間の、藤枝専務と、そして美帆と抱き合った光景の断片が浮かんだ。
やがて、重い眠りが私を引き摺り込んだ。
身体が触られる感触で目が覚めた。
隣に裕也がいて、パジャマに手を入れ、乳房を軽く撫でていた。
私たちは、あの夫婦交換以来、セックスはしていなかった。
ほぼ一週間、いつものセックスレスの夫婦に戻っていた。
その裕也が、今私を求め始めていた。
乳房を揉みながら唇を寄せてきた。
私はそれを受け入れ、自ら裕也の唇に舌を入れた。
裕也が舌を絡めて来て、私の舌を吸った。
片方の手が私の恥丘に降りてきた。
彼の指は無骨だった。
性交を急いでいる感じだった。
藤枝専務のねっとりとした指使い、美帆の繊細な指使いとは違っていた。
裕也は、ただ性交に向かって、私を濡らす事に一直線で、私がどのようなタイミングで反応を起こすかには、全く興味がなさそうだった。
そんな裕也の愛撫を私は受け入れた。
日常性に満ちた愛撫だった。
今夜は、この日常の、ありきたりのセックスが懐かしく思えた。
無骨な指が、やがて花唇を割り、蜜口を探り当てその中に入り込んできた。
私は自分から腰を突き上げて、微妙に位置を変えながら、私の快楽のスポットに指を導いた。
私の蜜壺に愛液が満ち始めていた。
裕也の蛇が、私の脇腹を擦りながら硬く太くなり、のたうち始めた。
私はそれを優しく握った。
熱く懐かしい、慣れ親しんだ蛇がいた。
野生は失なわれ、日常に飼いならされた蛇だった。
蛇は、幸せそうに身を捩り、身悶えした。
裕也はその蛇を私の顔に近づけてきた。
私はそれを咥え、舌で絡め取り、鈴口を吸った。
我慢汁が出始めていた。
裕也は私の口の中でピストン運動を始めた。
私はそれに答え、蛇を飲み込むようにして、頭を前後させた。
蛇の蠕動運動が激しくなり、裕也の手が私の頭を固定し、さらに腰使いを速めた。
ウーッ
と言って、裕也が爆発した。
蛇の先から粘質の液が噴出し、私の口の中を満たし、喉奥に吹き付けた。
裕也は自分が疲れている時はいつも私の口に出した。
私は、噴き出してくる液体を最後まで飲み続けた。
裕也の味だった。
液体を飲み終えた私の唇に、裕也が唇を重ねた。
暫くして、唇を離し、裕也が言った。
「良かったよ。ありがとう。」
そう言って、裕也は私を抱いたまま目を閉じ、そのまま眠った。
じっとしていると、裕也は軽い寝息を立て始めた。
私は、その腕から身を解き、少し離れて眠った。
日常の倦怠感が纏わりついたセックスだった。
そして、それはそれで、穏やかな眠りを誘った。