美帆が私を見下ろして微笑んでいた。
優しい顔だった。
「由希、いっちゃったわね」
「恥ずかしい、でも嬉しい」
私は彼女の首に腕を回し、引き寄せ、唇を吸った。
柔らかで、繊細で、優しかった。
美帆が言った。
「由希、あなたをたくさん食べたみたい」
「美味しかった?」
「美味しかったわ」
「今度は、私が美帆を食べてもいい?」
「少しだけね」
美帆が笑った。
私は美帆がしたように、息を優しく吹きかけながら、そして優しく舐めて行った。
彼女をうつ伏せにし、うなじから、背中へと舐めた。
弾力があり、輝きがある、磨き抜かれた肌だった。
超豪華なご馳走であり、超豪華なフルーツであり、スイートだった。
背中から、腰、お尻へと舐めて行き、そして二つのお尻の山を割った。
すると、すぼまった小さな口が現れた。
他人のアナルを見たことが無い私は躊躇したが、彼女が私にしたように、すぼった口に息を吹きかけ、舌でつついた。
アッ
アッ
と、美帆が甘い声を上げた。
私は、美帆がやったのを真似て、一方の手を前にやり、花唇を求め、花唇を開き、撫でさすった。
その後、彼女を仰向けにして被さり、脚をM字型に大きく押し開き、股間に頭を埋めて、花唇とその割れ目に添って、唇と舌で愛撫した。
私もまた、彼女の蜜口に唇を当て、溢れる愛液を啜った。
私と美帆はそうやって恍惚の時間を彷徨った。
どれ程時間が経ったのか定かでなかった。
「ごめんね、今夜はもう、時間がないの」
美帆が私から身を離して言った。
ソファーの下にガーターと一緒に放り出してあったスマホを見ると、夜の十一時を回っていた。
「そっかぁー、もー帰るのかー」
私は子供のように不服そうな顔を浮かべたのだろう。
「まるで子供ね」
「美帆のせいよ、あなたの優しさと美味しさがが私を甘えっ子にするの」
美帆は笑いながら、私に私の下着を差し出して言った。
「素敵なガーターね」
私は
フフ
と笑って、それを受けとり、そそくさと身に着けた。
私たちは帰り支度で、服を着ながらも、互いの体に軽く触れたり、唇を振れたりして、互いを確かめあった。
私はまるで初恋のようなときめきを感じていた。
美帆がベランダ側のカーテンを閉めた。
それを合図に私たちは玄関へ出た。
ドアを開く前に、美帆が私を抱き寄せた。
私も彼女の腰を抱いた。
そして、初恋の甘い口づけをした。
二人はマンションを出て、暫く通りを歩いてから、別々にタクシーを拾って、別れた。
私は、夜の都会の中を走り抜けるタクシーの中で、眠気を感じていた。
昼間の、全身を火傷してペニスを失った、藤枝専務のケロイドの身体。
夕方からの、ファッションモデルの頂点に近い、美しい美帆の身体。
私は、この対照的な二つの肉体を抱き、そして抱かれたのだった。
美と醜が私の中で渦を巻き、私を遠くへ連れ出していくようだった。