まず、女たちが彩夏に導かれて、滝の下の川端に足を踏み入れた。
そして、片方の手で、片方の手と腕に交互に水を掛けた。次いで、太腿に水を掛けた。
そうやって体を水に慣らして行った。
緑川が彼女達の真似をするよう促した。俺と浮田はその真似をしながら、川の流れに足を踏み入れた。
清流の冷たさが気持ちよかった。滝の飛沫が濃度を高め、俺たちを包んだ。たちまち、俺たちはずぶぬれになった。
左手の向こう側の女達に目をやると、彼女たちの法衣はずぶ濡れて透きとおり、肉体を浮き上がらせていた。
少し遠めであり飛沫が包んでいるため、その姿は滲んでぼやけていた。
それが一層、彼女達の濡れた像を神秘的に見せるのだった。
緑川に促されて俺たちは滝壺まで進み、滝に背を向け、頭頂に落下する水を受けた。頭上で水は弾け、頭蓋骨を叩き、肉をほぐした。視界は水の膜が覆った。
滝とその周辺はうまくライトアップされて、三百六十度の大パノラマとなった。
舞い上がる飛沫、水滴の嵐、そして、落ちる滝の音が俺の世界を包んだ。
目を閉じようとした時、和らかで荘厳な男の声が響き始めた。
声のする方を探すと、さっきの小屋の背後の杉木立の中腹に小さな壇が設えてあり、その上で、全身に金粉を塗した男が結跏趺坐して、お教を唱えていた。般若心教だった。
やはりライトアップされその姿は金色に輝き、晴れがましく、かつ、闇の中に浮かび上がって神秘的でもあった。
俺は一瞬にその正体を知った。
あれは、ブルドッグだ。
弾ける滝の流水の中までその声は響いて来るのだった。
一面の山の樹木と大気とに溶けこみ共鳴し合っていた。
滝の音と、目を閉じている自分の体もやがて共鳴し初めた。
おれは水の幕の遠くに凜の姿を求めた。
凜は、こちらに斜め後ろ姿を見せていた。
水で濡れた透けた白衣の中に、流れるような背中の線が見えた。背中の線は腰へと続き魅惑的に盛り上がった二つの尻が水を受けてライトに煌めいていた。
合掌のために手は組まれ、肘はたたまれていた。
その肘の向こう側に、乳房のふくらみが見えた。
滝の中で乳房は水を跳ね返し、水を弾き、美しく濡れて揺れていた。
俺は覚えたばかりの真言を何度も繰り返して唱えた。
ギャーティーギャーティーと続くその音は滝の音と親和し、唱えやすかった。
おれは無心に唱え続けた。
掲諦掲諦波羅掲諦
波羅僧掲諦菩提薩婆訶
唱えるスピードを脳裡で調整すると、ブルドッグの低く響く声と絶妙に調和し共鳴した。
それは心地よく俺の体を満たし、霊的なエネルギーへと変化して行った。
俺は緑川に言われたとおり、凜と交わる姿を細部まで想像した。
自分でも驚くほどの集中力で、脳裏に映像を映し出した。
それが緑川の言う観想行だった。
観想の中で・・・
俺は濡れたままの白衣の凜を抱きすくめる。
滝の水が凜の頬を流れている。
俺は、ボーイッシュな凜の頭を抱き寄せ、水の味がする唇を吸う。
凜の唇の中に舌を入れ、凜の舌を探す。
凜の舌を捉える。
俺は凜の舌を啜り、凜の唾をすする。
凜は豊かに唾を送り込んでくる。
片方の手で凜を抱き片方の手で凜の乳房を揉む。
決して大きくない乳房は掌の中で悶え始める。
唇を離し、凜の喉を舐め下ろす。
やはり水の味がする。
喉から下方へ移動していく。
乳房の突起、乳首に行きつく。
俺はツンと尖った乳首を口に含む。口の中で、舌で乳首を転がす。
凜が俺の頭を抱きかかえ、力を込めてくる。
凜は自然に片足を上げ、俺に絡みつき、腰をくねらせ始める。