私は十号。超高級娼婦。青髭の館。

私は十号 13.至福の四重奏

バーベキューの火は今のスコールで無残にかき消され、残った木炭の屑や料理の破片が撒き散らされている。

パパがしがみ着いている十号を見詰める。
横殴りの豪雨のせいで、髪がずぶ濡れて、雨の雫を滴らせている。
先ほどの強烈な雷のせいか?
腕の中で呼吸し熱を帯びている女体。
心臓の鼓動と脈動が男の炎を蘇らせる

熱い吐息、柔らかな胸、薄衣を通して伝わって来る心臓の鼓動、と肉の感触。
パパが失った若さや華やぎのすべてが、ここ十号という存在に凝縮している。
十号に向けてパパの蛇身が反応し始める。

パパが十号の濡れた額の髪を書き上げて言う。

「十号、君が欲しい」
「……」

十号は目で答える。パパの全てを受け入れる瞳の光。。
パパが十号をベンチに横たえる。
薄い濡れたガウンと小さな水着を難なく剥ぎ取る。
日の下に、十号の見事な肢体が現れる。

十号の腕を伸ばして頭の上で組ませる。
小振りだが均整の取れた乳房が目の前に宙に突きでる。
まさに白磁の陶器だ。
艶やかで、深みが有り、しっとりと内から輝いている。
かつての皇帝が愛した色と艶だ。

パパは自分に残された人生の時間が残酷に過ぎていくのを実感する。
今、腕の中の十号は、やがては時間と共に彼方に去っていく幻だ。
パパは脳裏で切なく呟く。

時間よ止まれ……

乳房の先端には桜色の、染み一つ無い乳首が突起している。
パパは指を、十号の喉から首へ、首から鎖骨のあたりへ、そして乳房の膨らみへと滑らせる。

十号の目がパパの目をじっと見詰めている。
口元には微かな微笑みがある。
いつかは必ず去っていき、時間の彼方へ消えていく微笑みだ。

パパは軽く、しかししっかりと乳房を揉む。

ああっ

と十号が細く綺麗な呻き声を上げる。
パパは十号の女体に舌を這わせ始める。
舌は、乳房から、乳首を味うように這っていく。

あっ、あっ

パパは快楽のありかをよく知っている。
横乳、腋窩、脇腹、臍、恥丘、軽やかな茂みの中へと、舐め回していく。
舌が辿っった後には、パパの涎が煌めいた航跡を残す。
パパはやがて体位を変え、十号を上に持っていき、騎乗位の型を取らせる。

「さあ、君の腰で私を食ってくれ」

そう言うパパの目が十号の目の奥を覗き込んでいる。
十号は静かに腰を沈めていく。
指で愛撫された後の女体は、すでに花唇をしとど濡らしている。
花唇は素直に両に割れ、蜜口が歓びを渇望して愛液を讃え、膣壁がゆっくりと、ぬるりと蛇身を呑み込んでいく。

十号が目を横にやると、武史が夏希を背後からしっかり抱え込んでいる。
夏希は既にガウンや水着を剥がされ今や全裸だ。
夏希の女体は、武史の腕の中で柔らかな女豹となってくねっている。
細い喉からは歓びの小さな唸り声が漏れている。
武史の目も今や野獣だ。仕留めた獲物を貪る歓びに満ちている。

「パパに代わって、今度は僕だよ」
「いいわよ、深く、強く」

武史は、乳房が下に着くほど背中を押し込む。夏希は弓なりになり、腰だけが宙を向く。
背骨がしなやかにたわみ、尻の二つの瑞々しい丘が猛の前に突き出される。
丘の谷間が合流する箇所に二枚の花唇が息づき、割れ目から雫が垂れて煌めいている。

武史は膝を折って身をかがめうずくまり、その雫に舌を濡らす。
舌は割れ目をなぞり、花唇の内側を舐め、蜜口に侵入し、溢れる愛液を音を立てて啜る。
しかし、愛液は尽きることなく武史の唇から溢れ出る。

キャッ キャッ キャァ……

啜られるたびに、夏希の高い声が響く。
武史が上半身を起こし、蛇の頭を愛液に濡れた蜜口にあてがう。
ゆっくりと蛇身を埋め込んでいく。

グッ グッ グ……ッ

夏希は床に顔を押し当てて、沸き上がる呻きを必死で抑え込んでいる。
武史の若い腰が、いきなり激しくピストン運動を始める。
強く、固く、速い。
青髭の城の一員としてとして愛してきた、どの男たちよりも強烈だ。

武史の腰の振りに合わせて夏希の声が上がる。

あーっ あーっ あーっ

武史のマグマが一気に課は心から駆け上って来る。
蛇身が今にも叫びそうだ。
爆発寸前に武史は蛇身を引き抜き、夏希の体を起こし、自分を向かせ、頭に両手を添えて固定する。
のたうつ蛇頭で唇を押し開き、口の中へとグイと押し込む。
蛇身は夏希自身の愛液と唾にまみれぬめっている。
武史の腰の動きが一段と速まる。
口腔内で蛇身はのたうち、喉奥を目指して来る。

オオオーッ

武史が叫ぶ。
叫びに合わせて、蛇身が爆発し、たぎったマグマを激しく噴出する。
白濁の奔流が夏希の喉を直撃する。
熱く、生臭く、粘質の飛沫が止むことなく押し寄せてくる。

夏希はむせびながら噴き上げる液を呑み込む。
武史は容赦なく腰を振り続け、蛇身の駅を絞り出す。

夏希が最後の噴出を呑み込んだ時、武史が蛇身を抜きく。

ぶはーっ ぶはーっ

と、夏希が呼吸困難から逃れようと、大きく口を開けて空気を吸い込む。
唇と舌が白濁の液にまみれている。

武史はその唇を吸う。
舌を入れ、中の混濁した液体ともども、夏希の舌を搦めて吸い上げる。
夏希が腕を腕を回して、武史を抱き締め、全身を絡ませてくる。
柔らかな乳房、脈打つ女体、肉の熱、甘い声が武史を包み込む。

女体がいきなり痙攣し、抱き締める腕に強い力がこもり、全身が間歇的にこわばり、武史に張り付いて来る。
そして突然全身の筋肉が弛緩し、ゴム人形のように武の腕の中に崩れ落ちる。
軽い失神状態だ。
アクメが襲い、今、アクメが去り、夏希は小さな死を迎えている。

武史の中を静かな時間が流れて行く。
夏希の呼吸が鎮まり、自分の呼吸も鎮まって来る。
時間感覚が失われている。
潮騒だけが聞こえている。

本編はこちら

-私は十号。超高級娼婦。青髭の館。