愛人もどき。危険な女二人。

愛人もどき13 緊急のAV出演交渉。戸惑う女二人と俺。

女優は暴れる男優の蛇身に唇を寄せ、蛇の頭を含み、蛇身を喉の奥まで咥えこみ、まだ続いているザーメンの放出を受け止め、ザーメンを飲み込んだ。
俺は蘭と凜と三人で、焼き肉弁当を食いながら、マジックミラー越しにその撮影現場を観ていた。
「迫力おますやろ」
社長のブルドッグが言った。
蘭は曖昧に頷いた。
凜は無視するようにスタジオを見詰めていた。

そこへ緑川が入って来てブルドッグに囁いた。
「美弥さんが急に来れんようなったそうです。急に高熱が出たようです。」
「なんやて」
ブルドッグと監督の桐生が同時に言った。
「これ終わったら美弥を撮る予定やで、土壇場で何言うとんのや」
ブルドッグが吠えた。
「美弥さんはよう頑張る女優さんや。無責任にドタキャンする人や無い。ホンマに熱出たんやろ」
桐生が言った。
「ウーン」とブルドッグが唸った。
暫く塞ぎこんだ後、ブルドッグは何かを思いついたように、蘭と凜を粘り気のある目つきでじっとりと時間をかけて舐めまわした。

「蘭さん凜さん、助けてくれへんやろか?」
「何よ」蘭が言った。
「AVに出てもらえへんやろか?」
「何ですって」
凜が言った。
「納品先さんとの契約で、どうしても今夜中にもう一本仕上げないけまへんねん。」
蘭と凜は驚きで互いに見合った。
「馬鹿言わないで」
凜が怒ったように言った。
「そや、それいいわ。」
桐生が立ち上がり、蘭と凜を検分するように顔を近づけたり、遠のいたりして品定めをした。
「確かにいい。蘭ちゃんの情熱的な雰囲気、凜ちゃんの知的な雰囲気、ええで、ええで、社長。」
「そやろ」
ブルドッグは自慢げに言った。

「絶対ええで。二人同時に出るとなると、レズと3Pがええな」
桐生が言った。
「なによ、それ」
蘭が驚いて凜を見た。
凜は何かを考えている様だった。
「AV出てもろたら何でも言う事聞きます。お願いや。助ける思うて、お願いや」
ブルドッグはいきなり土下座して、頭を何度も上下させた。
例え演技であっても、必死の凄味があった。

「いいわ、その代わり、三日間、護衛を二人程付けてくれる?」凜が言った。
「護衛?」
ブルドッグが不思議そうに顔を上げた。
「私たちある組織から追われているの。そいつらから守って欲しいの。」
「腕がたつ奴やな、分かった二人揃えよう。」
蘭は交渉している凜を見詰めながら不安そうな表情を浮かべていた。
そして言った。
「3Pって、知らない男とやるのは嫌よ」蘭が言った。
「わたしも嫌よ。だから松岡さんに出てもらうわ。いいわね社長さん」
凜がブルドッグに言った。
「おいおい、俺は嫌だよ、それに無理だよ。カメラやライトに囲まれたら、おれのおちんちん立たないぜ、きっと」
俺は慌てて言った。
「それは大丈夫よ」
蘭が微笑みながら言った。
「よっしゃ、交渉成立や、打ち合わせして来るわ」
桐生が席を立ち、スタジオに入って行った。
スタジオでは撮影が終了し、アシスタントが女優にガウンを掛けているところだった

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