9月になれば。ボビーダーリン。なぜか物悲しい軽快な60年代ポップス。

受験期の8月の夜。机の前で汗だくで聴いていた

熱い夏の夜、受験勉強に汗を垂らしていた時、小さなラジオからこの曲が流れてきた。
軽快なリズムと、マイナーな曲調が僕のココロを掴んだ。
電波状況は決して良く無かったが、浮き浮きした曲が、僕を誘惑するのだった。
暫くノートの手を休め、曲に聞き入った。

僕の中で囁くものがあった。
そうだ!
9月になれば!
そうだ!

僕は独りで頷いていた。
しかし、何が「そうだ」かは分からなかった。

この曲が、前途への微かな希望と喜びをもたらした。
9月になれば!
9月になれば!
僕の成績は良くなかった。
目指す大学へ入れる保証はどこにもなかった。
そんな僕に、この曲が小さな勇気と希望をくれた。

素敵で、楽しい、青春が待っているのだ!
頑張れ!
そうやって自分を励ました。

映画はロックハドソン主演、ボビー・ダーリン楽団が主題曲を奏でていた。
軽快な中に、何となく哀愁さえ感じさせる曲だ。

その後、十数年経って、偶然にTVでブータン国の軍隊行進曲を聴いたことがある。
その行進曲はまさにこの曲、9月になれば、だった。
しかしその後、いろいろ検索してみたが、ブータンの行進曲は見つからなかった。
あのブータンの行進曲は幻だったのか?
いや、確かに聞いたはずなのだが。

ともあれ、今でも、夏の終わりになると、この曲が頭蓋骨の中で流れて来るのだ。

メモ
製作:1961年 アメリカ。
出演 : ロック・ハドソン, ジーナ・ロロブリジーダ, サンドラ・ディー, ボビー・ダーリン, ウォルター・スレザック