スワッピング・悦楽の四重奏

四重奏34 湯船の中、二人の男に挟まれて。

目が覚めた。
室内にカーテンの隙間からの光が漏れていた。
私はシーツにくるまって全裸だった。
隣に夫の裕也が眠っていた。
彼は寝返りを打ってきて、さりげなく私の体に手を回し、乳房を掌で覆った。
その手をそっと押しのけて、ガウンを身に着け、ベッドを離れた。

ガラスの透明な壁の向こうは居間となっていた。
その奥のダイニングテーブルで、ガウン姿の恭介が簡単な朝食を広げていた。
私は寝室を出て居間に出た。恭介が気付いて笑顔を見せた。

「おはよう、よく眠ったみたいだね」
「おはよう、今何時?」
「朝の十一時だよ」
「そんなに?」
「眠ったのは夜の十一時くらいだったよ」
「十二時間も眠ったの?」
「本当によく眠ってたよ。寝顔は可愛かったよ、仕事場では見たことのない可愛さだった」
「変な事言わないで」

私の声は軽やかだった。そう言えば、全身が爽やかだった。
上質の焼酎のせいだろうか、アルコールは完璧に消え、クリーンでさえあった。
そして、昨夜のセックスのせいだろうか、全身にエネルギーが満ちているようだった。

「美帆は?」
「どうしても欠かせない仕事があって、少し前に出て行った」
「そうなの」
「見たよ、美帆と愛し合っているところを」
「言わないで」
「由希の体が綺麗だった」
「言わないで!」

私はそう言って、テーブルの上のグレープフルーツジュースを飲んだ。
新鮮な酸味が喉と体を潤した。

恭介がそばに寄って来て、ガウンの中に手を入れ、乳房を軽く撫でた。
そして唇を寄せて来た。私たちは軽い接吻を交わした。
昨夜の夫婦交換で濃密に触れ合ったせいだろう。私たちの体は互いになんの違和感もなく、肌を寄せあった。

「シャワーを浴びたいわ」
 「じゃ、一緒に入ろう」
私たちは、ベランダに出た。

ベランダの彼方には、四月の午前の晴れ渡った空が広がっていた。
ベランダの外周は強化ガラスに囲まれ、プランタンや小物、小さな高価なソファーが置かれ、ちょっとした植物園だった。
植物園の中に、大きなガラスで出来た、小舟の形をした透明な浴槽があった。
小舟の横の奥は、シャワーなどが備わった浴室となっていて、その壁と天井は鏡張りで、体の隅々まで映す造りになっていた。

小舟の浴槽に入るとき、どうしても片脚を上げざるを得ないような設計になっていて、股間の花唇や肉芽が浴室の鏡に映し出された。
「見てるの?」
犬がおしっこするように、私は片脚を上げながら言った。
「見えちゃってる」
「厭らしいお風呂ね」

恭介も片脚を上げて小舟に入って来た。
その時、彼の股間の蛇と、付け根の膨らんだ蛇の巣の袋が見えた。
蛇は少し身を伸ばし始めていた。

小舟の中で向かい合って抱き合った。
「変なことしないでね」
「変な事って?」
恭介がニヤニヤしながら言った。
私の花唇のあたりで蛇がもぞもぞ動いていた。

その時、裕也の声がした。
「俺も仲間に入れてよ」
片脚を上げて、蛇と袋を鏡に映して小舟に入って来た。
そして、私を後ろから抱える格好で、小舟の中に納まった。

私は、前からは恭介に後ろからは裕也に挟まれ抱かれる形になった。
二人の男に同時に抱かれるなんて、今までにない経験だった。

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