徒然ノート 悦楽の読書

もんであきこ「エロスの種子」愛と死のノクターン

もんであきこ氏の漫画「エロスの種子」を読んだ


まず、その文学性に驚いた。
そしてその画風に驚いた。
一つ一つの話が、 しっかりと構成されていて、珠玉の短編小説的な完成度がある。
絵は ある意味 劇画調 の古風な感じを受ける。
しかしそこで描かれるのは、まさに官能的でエロティックな、生と死が交錯する世界である。
Amazon で 読み放題で購入したのが次の作品。
エロスの種子 第1巻 全4話

第1話 因果
第2話 人形
第3話 ジゴロ
第4話 マリーゴールド

いずれも エロスと悲劇性に富んだ作品である。
今、もんであきこ氏がどれほどの人気を博しているかは知らない。
しかし 一部の愛好家には相当根強い人気があるのだろうと推測される。

因みに僕自身がこの作家と作品を知ったのは貴島璃世@lise_ki_shima氏の
「愛人願望〜女の体には官能のスイッチがある: 貴島璃世エッセイ集 (愛欲書館)」を通じて である。
https://note.com/kishima_lise/n/n3cb2f1775b59?magazine_key=me2922e43f0a7
貴島氏が取り上げるだけあって、この作品は 上質なエロスが隅々まで漂っている。
もんであきこ氏の年齢は Wikipedia によると 60歳。
どことなく終戦直後の匂いが漂っている。
ずしんと来る傑作集だ。

僕が官能小説を書くにあたって 非常に参考になる、 あるいは影響を受けそうな作品である。
今コミックが世界的に人気を博しているが、このようなコミックも もっと紹介されていいような気がする。

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