愛の煌めき。1分間小説。

空が落ちて来る

「空が落ちて来る」
僕が言った。
「いいえ、私たちが昇って行くの」
彼女が言った。
ビルの陰、静かな日。
「でも不倫の僕たちに未来はない」
「だから昇るのよ」
僕は黙った。
僕は登れなかった。
そして僕たちは別れた。
遠い遠い若かったのあの日。

-愛の煌めき。1分間小説。