女体の声/掌編小説集

星屑の街1.酔った彼が立位で中だし。深夜のネオン街のビルの裏。r

2021/04/28

カウンター越しに、素敵なお客さんを相手している時、スマホが鳴った。
謙二だった。
私はお客さんに謝って席を離れた。遠くでママが嫌な顔をしていた。接客中のスマホは厳禁だし、まして席を離れるなんてなおさらだった。

構わなかった。
私は謙二が大好きで、何よりも謙二を優先した。それに、スマホの声は何か切羽詰まっている様子だった。

店の裏口に出ると、隣のビルのネオンが瞬いていて、階段に座っている謙二をいろどっていた。
謙二は立ち上がって私に近づいてきた。
七色の変化するネオンの中で謙二の顔が不気味だった。
濃紺のスーツと、ノーネクタイのワイシャツがセクシーだった。

謙二はいきなり私の頬をはたいた。
手が往復し、二、三度はたかれた。

お前、兄貴とやっただろう!!

謙二の目が怒気を含んでいた。

兄貴と呼ばれる男は、イケメンで、クールだった。この世界では珍しく、一流大学卒だった。
十数人の手下を抱え、オレオレ詐欺まがいの、きな臭いビジネスをしてるという噂だった。
謙二も、その手下の一人だった。
何をしているのかは、謙二も堅く口を閉ざして明かさなかった。

昨夜、兄貴が店にやって来て、私をボックス席に呼んだ。

お前、良い女だな。
謙二には持ったいないぜ

そう言いながら何杯も私に酒を勧めた。

謙二とは違って、話題が豊富で、それも素敵な映画の話だったり、外国旅行の話だったりした。
そのくせ、時々光る眼にはやくざな凄みがあった。
謙二とはランクが違うと思った。

気が付くと私は兄貴に抱かれていた。
酔いの中で、兄貴は太い蛇身で何度も私を突いた。
胸から背中にかけて、竜の刺青が登っていた。

終わった後

良かったよ。
タクシー代にでもしてくれ。

そう言って、私に万円札を五枚ほど投げてよこした。

私はそんな女じゃないよ。

そう言って、そのお札を彼に投げつけた。

まあ、いいから、とっとけ。

そう言って、兄貴はホテルの部屋を出て行った。

兄貴が言っていた。
いい身体だだって。
そして続けて言ったんだ。
お前にはもったいない!
俺に譲れって。
百万でどうだって!

何言ってるの?!

私が叫ぶと再び平手が飛んだ。

私は泣き声で言った。

お酒を飲まされて、いつの間にかぐでんぐでんになって、気が付いたらあの人に抱かれてた。
それだけよ。

お前は兄貴の下でよがったんだよ。
よがって、涙さえだしたんだよ。
そして中だしされたんだよ!

謙二はそう言って、私をいきなり抱きすくめた。
少し酒臭かった。
怒りに任せて飲んだのだ、と思った。
唇をきつく押し付けてきた。
壁に私を押し付けスカートを捲りあげ、パンストと下着を引きずり下ろし、下半身を剥き出しにした。
そして、一方の脚を抱きかかえて、花唇を夜気に曝した。

謙二は自分の蛇を引き摺り出し、その頭に手で唾を塗りたくり、グイと入れてきた。

兄貴も入れただろう。
どうだ、大きかったか?
おれよりも大きかったか?

堅かったか?
俺よりも堅かったか?

もうやめて!
お願い
もうやめて!

私は下から突かれながら、謙二の胸に顔を埋めて泣いていた。
謙二は気が弱い男なんだ。
兄貴への怒りを私に向けているんだ、そう思った。

見てろ!
兄貴の今の組織を乗っ取ってやる!

そう言いながら、謙二は激しく腰を振り続けた。
私は不安定な立位のため、全身ががくがく震え、奇妙な感覚が全身に走るのを感じていた。
どれ程の時間が経っただろうか、わからなかった。
謙二はついに、くぐもった声を上げて、私に中だしした。
大量の白濁の液が蜜壺の中に注がれ、溢れた液が腿を伝って滴った。

お前は、譲らない!
譲ったら負けだ。!
お前がどんなに俺を嫌いになっても譲らない!
俺は何時か、兄貴を叩き潰す。

私は精液を滴らしながら、私はきっとどこまでも謙二に付いていくんだろうな、と思っていた。