愛人もどき。危険な女二人。

愛人もどき39.滝を前に女達の太腿が白く輝いてr

2021/04/26

戸惑っている俺たちに彩夏が声を掛けた。
「蘭さんと凜さんは私について来てください」
そう言って彩夏が寺の中に誘導した。
「じゃ、松岡さんは俺について来て」
緑頭の緑川がそう言って、先頭に立った。

玄関を入ると、古びた旅館と言った感じだった。まさに宿坊だ。
男女は左右に分かれた。
俺は緑川の後ろから声を掛けた。
「社長は?」
「別室で用意しています」と、素っ気なかった。
廊下の右手に古びて苔むした庭が広がっていた。
庭石の所々に崩れ掛けた小さな石仏が散在していた。ある石仏は全身苔で覆われていたり、ある石仏は顔が崩落して化け物の様だったり、ある石仏は泥の中から頭だけ出して大笑いしていた。

幾つか角を曲がって、小さな居室に通された。
緑川は籐の籠を俺に渡した。
籠の中には、布切れが置かれてあった。
フンドシです」緑川が言った。
衣類やスマホなどをかごに収め、俺は褌を手にした。越中褌と言うらしい。
緑川に従い褌を締めた。
生まれて初めての褌体験だった。

「松岡はん、チンポでっかいでんな」
緑川が笑って言った。
「お前には負けるよ」
俺は、車の中で蘭が緑川のペニスを咥えていたのを観ていたのだ。緑川の蛇身はそうとうでかく、使い込んでいるようでもあった。
そう言うと、緑川は子供のような笑顔を浮かべた。

褌は股間を、そして、肉体を解放するかのようだった。
股間には豊かな空気が流れこみ、綿の生地は通風性がよく臀部が呼吸している様だった。
「じゃ、行きまっか」
緑川が再び先頭に立って俺を誘導した。

寺を出て、裏手の山の石段を登った。急勾配の石段に俺はすぐに息切れした。
石段の両側にも崩れた無数の石仏が苔を被っていた。彼方から滝の音が聞こえていた。
石段を上り詰めると、小さな広場になっており、控えの小屋が立っていた。
小屋の左前方に、ライトアップされた幅の広い滝が轟音を立てて流れ落ちていた。
大粒の水滴が闇の空中から爆発しては溢れ出し、それが間断なく流れてはまた溢れて落ち続けていた。

小屋の周りは滝の飛沫が霧のように立ち込めていた。
小屋の前に彩夏と蘭と凜が俺たちを待っていた。
そして、もう一人、女性が加わっていた。成熟した体の輪郭から三十代半ばと思われた。
四人とも白のガウンのような法衣を着ており、丈はミニスカートぐらいで、白乳色の太腿が蠱惑的に伸びていた。彩夏が凜と蘭ともう一人の女に何やら説明していた。三人はうんうんと頷くように頭を振っていた。

俺たちの前に、一人の男性が、やはり褌姿で立っていた。
「浮田さんです」緑川が言った。
「浮田さんはたまたま今日が入信儀式日なのです。一緒に滝に打たれてもらいます。」
そう言って、浮田を紹介した。
中年で、顔つきは渋くダンディーで、女にもてそうな男である。中小企業の社長さんのような雰囲気である。。
「あの方のご主人です」
そう言って、例の女性を視線で示した。
俺と浮田は簡単に形式的に互いを紹介した。
遠くに見える女性の名は、真矢という。

緑川は滝行の要点を説明した。
手は、正式には様々な印を結ぶが、初心者は仏を拝むときのように、ただ合掌すればよい。
唱える真言も色々あるが、初心者は般若心教の最終部、
掲諦掲諦波羅掲諦
ギャーテイギャーテイハラギャーティ
波羅僧掲諦菩提薩婆訶
ハラソーギャーティボジソワカ
を繰り返し唱えればよい。

そして・・・
と続けた。
この寺独自の教義では、真言を唱えながら、好きな相手と交合している光景を、できるだけ細部にまでわたって思い浮かべる事と教えている。
これを

密入観想

という。
「例えば、松岡さんなら、凜さんと交わっている場面を、事細かく思い浮かべてください。」
「なぜ、俺が凜と?」
「見てたら分かりますわ、松岡さんが凜さんに惚れてることが」
俺は少年のように顔を赤らめたようだった。
小屋の中の凜を盗み見ると、凜がこちらを見て微笑んでいるように見えた。

「とにかく、滝に入ったら、チンポが立つぐらいまで思う浮かべて下さい。それがを密入観想です。我慢汁が出てきたら上出来や。射精したら相当なもんや」
「凜はどうするんだろう」
「凜さんも同じようにを観想します。ただし、誰を観想してるかは分かりまへん」

滝への打たれ方も簡単だった。
ここの滝の流れは比較的穏やかなので、合掌しながら頭頂で水を受け止めればよい、また、次第に肩を打たせてもよい。

「肩凝りにも効きまっせ」と冗談混じりに言った。

「では行きまひょか」緑川が言った。
気が付くとやはりブルドッグの姿はどこにも無かった。ブルドッグが滝行をしようと言ったのだ。
「社長は?」俺が訊くと、
「いろいろ準備してますわ」とだけ言った